アニメ『BanG Dream!(バンドリ)』はなぜ低評価なのか

ブシロード渾身の激推しメディアミックスコンテンツである『BanG Dream!(以下バンドリ)』。数々の漫画、小説版と着実に成長し、2017年冬クールのアニメ版を経て、満を持してリリースされたアプリ『バンドリ! ガールズバンドパーティ!(以下ガルパ)』は、まあ確かに大盛況と言って全く事実に違いはないでしょう。えぇ。

ただ私はどうしても、アニメバンドリは果たしてアレで良かったのかと思ってしまいます。1クールアニメとしては標準よりも多い13話という時間をかけて描かれた物語の割には、アニメ『バンドリ』はあまりに薄っぺらかったと言わざるを得ないのではないでしょうか。

どういうわけか3クール経った今季(2017年秋クール)でも未だに再放送されている『バンドリ』のどこがどう納得いかず、どうしてあげればもっと良いものになっていたのか、批判点ポテンシャルを論じていきます。

正直これを書きたかったがためにこのブログを立ち上げたと言っても過言ではないので、気合いを入れて書きます。

 


◆アニメ『バンドリ』あらすじ

あらすじなどそんなに長々書くものでもなく、この記事を読む前に全話観ておいてほしい、そもそも観る前にこの記事を読まないでほしいというのが正直なところですが、とりあえず書いておきます。

主人公・戸山香澄は高校1年生。幼い頃に聞いた”星の鼓動“が忘れられず、キラキラドキドキを探しています。ある日の帰り道、不登校の優等生・市ヶ谷有咲の家の蔵で星型の変形ギターランダムスター)を見た香澄は、すっかりギターの魅力に取り憑かれます。さらに生まれて初めて行ったライブハウス・SPACEでライブを観て、これならキラキラドキドキ出来ると思い立ち、バンドを始めることに。ピアノ経験のある有咲をはじめ、ベーシストの牛込りみ、ギタリストの花園たえ、ドラマーの山吹沙綾を集めてPoppin’Partyポピパ)なるバンドを組んだ香澄は、憧れのSPACE出演を目指して活動をしていきます。

何の偏見も混ぜずに当たり障りなく書くとこんな感じでしょうか。これだけ観れば、何がそんなに悪かったのかよく分からないことでしょう。

 

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◆『バンドリ』のここがダメ

その1:戸山香澄が宇宙人

最初にして最大のマイナスポイントは、主人公・戸山香澄が宇宙人という点。いきなり何を言ってるんだという顔をされているかもしれませんが、実際そうとでも考えないとあまりに都合が良過ぎるんですね。

 

まず第1話、香澄が新しいクラスで何の戸惑いもなく「小さい頃に星の鼓動を聴いて~」などと自己紹介するシーン。もうこの時点で『あ、こいつヤバい奴だな』と思われ、クラスから浮いてもおかしくないでしょう。ところがこの台詞を「星の鼓動って?」と拾っていくクラスメイトが現れ、香澄は自然とクラスに溶け込んでいきます。

まさかここで涼宮ハルヒの対抗馬が登場するとは思ってもいませんでしたが、即座にクラスで浮いたハルヒ神よりもよっぽど神がかっています。これはもう香澄が長門めいた宇宙的パワーでクラスメイトを操作したに違いない!

 

また第2話、気に入ったランダムスターを蔵から強盗同然に持ち出した香澄は、有咲に奪還された後もしつこく蔵を訪れてはランダムスターを見たり触ったりしていきます。有咲のほうも人肌恋しかったところに現れた香澄にいつしかほだされ、ギターが壊れて(弦が切れただけですが)雨の中二人で修理に出しに行ったのが一番の契機となって、ランダムスターを格安で香澄に譲ります。

このだんだんと有咲が香澄に心を開いていく過程は「バンドリ」屈指の丁寧な描写(というかここくらいしか褒める点がない)ではあるんですが、それにしても30万でオークションに出品する気だったギターを540円で譲るのは度が過ぎるでしょう。何せ相手は、ほとんど赤の他人だった段階で、有咲の許可も得ないままランダムスターを持って外に出ていった経歴のある奴。比較的しっかりとした理由づけがなされている回ではありますが、香澄が洗脳して有咲に取り入ったと考えたほうがまだ自然です。

 

さらに第3話、『バンドリの篩とも揶揄される回ですが、香澄が憧れるバンド・Glitter Greenが参加するはずのライブに本人たちが間に合わず、他バンドの引き延ばしも虚しくお開きになりかけた時、香澄がどういうわけか(勝手に入った楽屋を経由して)無許可でステージに上がり、きらきら星をアカペラで歌い出すシーンがあります。

香澄の暴挙を制止しない出演者やライブハウスのオーナー、音程もやや怪しいきらきら星のアカペラを「何あれ、カワイイ!」と好意的に受け止めて見守る観客、一緒にステージに連れ出されさらには一緒に歌い出す有咲、そしてなぜか香澄のその姿に勇気をもらったらしくベースで合わせ出すりみ。きっと全員香澄に操られています。

 

とまあ、香澄が宇宙人だとでも思っておかないとしんどいほどのコズミックサイコホラーを3話連続で観させられるわけですから、もうこの時点で切る人は切ってもおかしくないでしょう。何より第3話のきらきら星アカペラ6分半はアニメ史に残るキツさ。あまりにキツいからか、円盤では短縮されているとか何とか。

ちなみに『バンドリ』は他のアニメより2週遅れて本編の放送が開始されたんですが、その理由が「3話まで観て視聴をやめるかどうか考える人が多いから、他アニメが3話を放送する時に1話を放送すれば視聴者に切られないと思ったからだそう。私は公式が何を言ってようと絶対制作遅延だと思いますが。

 

その2:やたら尺を使っておいて何も解決していない問題

第2~8話は香澄がバンドメンバーを勧誘していくパートになっていますが、このうち後ろ3話では、文化祭に向けてドラマー・山吹沙綾を勧誘するために香澄がひたすら説得を繰り返します。第6話までバンドにドラムを加入させることすら全く視野に入れていなかったらしい香澄には私もドラマーとして怒り心頭ですが、この一連のストーリーの問題はそんな些細なことではありません。

 

そもそも、沙綾の家はパン屋(山吹ベーカリー)を営んでおり、中学の頃に組んでいたバンドで出るはずだったライブ当日に体の弱い母親が体調を崩したため自身が出演できなくなり、店の手伝いで練習時間が取れなくなるためメンバーに迷惑をかけるという理由でバンドを辞めた、という経緯があります。

母親の体の弱さを根本的な理由としてバンド活動が出来ないでいるわけですから、これが改善しないまま再びバンド活動を始めたとしても、沙綾はまた同じようにバンドメンバーに迷惑をかけうるわけです。

 

ところが、文化祭当日に倒れた母親を見舞いに走った沙綾は、香澄の(しつこ過ぎる)説得を留守電で聞き、母親の後押しもあって何とバンドへの加入を決意します。確かにこの場では良い話っぽく見えるのかもしれませんが、これでは根本的な問題は一切解決していないんですね。

つまりここでの沙綾は、短期的な視点で極めて無責任な行動をとったと言わざるを得ないわけです。今日はこれで良かったかもしれない、でも次に母親が倒れた時、沙綾は母親を差し置いてバンド活動を続けられるのか? この問題について、本編ではこれ以降一切言及されません。

沙綾の説得に3話も使っておきながら、問題を下手に大ごとで始めたがゆえに、根本的解決をみないままうやむやにまとめるしかなくなってしまったこの一連のストーリー。完全に設定ミスだと思います。

 

ちなみに、数回聴いただけの曲を沙綾が本番でいきなり演奏したという点については、私はあまり指摘するつもりはありません。私もそこそこ出来るので。

 

その3:急に折れる香澄のメンタル

第10話までは鋼の心で唯我独尊猪突猛進の快進撃を続けてきた香澄ですが、SPACEのオーナーの一言が突如彼女の心をポッキリ折ります。その言葉というのが、「アンタが一番出来てなかった」

 

SPACEのオーディションで散々な演奏をしてオーナーにボロクソ言われた香澄たちですが、オーナーの「やり切ったか」という問いに、メンバーの中で唯一香澄だけが首を縦に振りました。先の台詞は、そんな香澄に対して後日オーナーが言ったものです。

これ以降は香澄が焦って練習したりショックで歌えなくなったりといった描写が出てきて、さも当然のように王道たる挫折と復活の物語を展開させようとしてくるんですが、ちょっと待てよと。そんなの当たり前じゃないかと。

 

何せ香澄は全くのド素人です。他のメンバーは少なからず楽器経験があるのに対し、香澄はコードの押さえ方も知らない状態から始めているわけですから、そりゃあ一番下手なのは言うまでもなく当然です(あの『けいおん!』の天才ギタリスト・平沢唯とは設定が違います)。

そんな自明なことになぜ今まで気付きもせず、あまつさえそれを指摘されたことでショックすら受けたのかという素朴な疑問が湧くのは至極当然なことでしょう。ところが「バンドリ」終盤の物語はこれを基盤に強引に展開してしまいます。

 

そんなすぐに解決するわけでもなく、また最初から分かり切っていた以上別に大した問題でもないので、ものすごく練習するでもなく、またそのまま辞めてしまうといったバッドエンドにするわけでもなく(そうなったらそれはそれで非難轟々でしょう)、結局全員で分担して歌うという方法でもってこの件は解決をみます。

まあ、歌の負担が減ればそのぶんギターのほうに集中できますし、分からなくはない解決方法です。ただ、そんなことでメンバーの結束を改めて描くことに何か意味があったのかという疑問もありますし(まず特に分散もしていないので)、何より香澄がゴリ押しで集めてきたとしか思えないメンバーが「頑張る香澄の姿に勇気をもらったから」と結束を高めていく姿は、ある意味で滑稽ともいえます。

 

もしも中盤までの話の中でほんの少しでも、自身のスキルに悩む香澄の姿が描かれていたとしたら、この終盤の話は張ってきた伏線を回収しラストに向かうための、重要で意味のあるものになっていたのかもしれません。

しかしこんな雑な描き方では、この終盤の展開は全員に歌わせるという結果ありきでとってつけたストーリーとしか捉えることが出来ません。ただでさえ迷惑極まりない存在の香澄が本格的にどうしようもないバカにしか見えなくなり、ラストへの期待は減る一方です。

 

その4:有効に使われることのなかった星のモチーフ

“星の鼓動”をはじめ、有咲の家に向かうきっかけとなった星のシール、有咲の家の質屋・流星堂、ランダムスター、きらきら星など、『バンドリ』でたびたび出てくる星のモチーフ。香澄の猫耳ヘアスタイルも本人としては星をイメージしたものだそうですが(※この話はアニメに出てきません)、この星のモチーフが中盤からぱったりと姿を消します。

 

もう”星の鼓動”って何やねんなどという話は捨て置くとして、上記のように序盤で星を前面に押し出したのであれば、何らかのかたちで星を積極的に絡めて物語を描いていくのが本来の筋だろうと思います。

星自体にはもともとそれでなければならない理由がなかった(ある種のマクガフィン)ので、”星の鼓動”は別に”月の歌声”とか”大地の叫び”とか”妖精の囁き”とかでもよかったんですが、とにかく香澄が”星の鼓動”の思い出を原動力として行動している以上、もう少しいろいろな場面に星が出てくるべきだったのではないでしょうか。

 

たとえば、星型のキーホルダーをひとつ香澄に持たせて窮地の時(それこそ第3話とか第10・11話とか)に握らせたり、香澄にとって良いことがあった後に空の星がちょっと光るような描写を挟んだりするだけでもだいぶ違ったことでしょう。

それこそあの星を模したつもりらしい猫耳ヘアスタイルだって、香澄が不安を感じた時にふと猫耳に触れるメンタルをやられた時に猫耳をやめるなどしてもよかったと思います。猫耳に意味を付加し損ねたアニメでやっても無意味な演出でしょうけども。

また第13話の最後の台詞は、最低でも「キラキラドキドキ」を含めて、出来れば「また星の鼓動が聞こえた気がした」など、”星の鼓動”という当初の動機に対応していれば上手くまとまったはず。「またここでライブやります!」じゃあないんだよお前。知るか。

 

そういったちょっとした描写で良くなるところをことごとくサボり、結局”星の鼓動”はどこへやらといった感じで終わってしまう『バンドリ』。もったいないの一言に尽きます。

 

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その5:全く設定が活かされない妹

香澄の妹・戸山明日香。優等生な年子の妹という時点で平沢憂とモロ被りなこのキャラクターが、その設定をまるで活かしてもらえていないという問題があります。

 

確かに終盤ではメンタルダウンしていた香澄のちょっとした話し相手として役立っていたような気がしますが、平沢姉妹との決定的な違いとして、明日香が優秀であるということが何の意味も持たないというところに設定の無駄さを感じます。

『けいおん!(1期)』では風邪を引いた唯の代わりに憂が唯を装って軽音部に顔を出したところギターが上手過ぎてバレたという話が、『けいおん!!(2期)』では普段家事全般を担当している憂が風邪を引いた時に唯が妹のありがたみに気付く話がそれぞれ挿入されており、優秀な妹としての憂のキャラクター設定が存分に活かされています。

ところが明日香はそうした活用がなされていないので、終盤での役割を考えてもただ妹でさえあればよく、何なら姉でもよかった(むしろ弱った主人公を支える立場という面で考えれば年上のほうが説得力があり穏当)わけです。あるいは別のキャラクターに同じ役割をもたせてもよかったですし、そうなると存在意義自体もなくなります。

 

つまり何が言いたいかというと、このような設定の無意味さが戸山姉妹を表面の設定だけコピーしてきた平沢姉妹に見せてしまっているんですね。そもそも、”アホの子”的な共通点をもつ香澄と唯(私に言わせればこの二者は全く異なりますが)も似た者同士のように見えますし、余計に劣化コピーと感じられます。

使わないキャラクター設定なんて本来設定する必要はないんです。まして戸山明日香はメインキャラクターでもなく、『ガルパ』にも出てこないんですから、キャラクターとしての魅力を付加する必要すらありません。明日香に何か重要な意味があるとすれば、ブシロードグループの事務所に所属する声優・尾崎由香が演じているというただ一点のみ。

もっとも、『バンドリ」という一連の企画自体が同じくブシロード声優・愛美を押し出すために出来ていることを考えれば、声優を多く使いたいという政治的判断で物語やキャラクター設定が操作されうるということも理解できます。商業芸術の悩ましいところですね。このあたりは根拠薄弱な憶測なのであまり真に受けないでほしくはありますが。

 

その6:バンドマンなら2秒で分かるバンドへの無理解

バンドマンの端くれなので、実際のバンド界隈ではまずありえない場面の描写が数多くみられました。これは列挙します。

 

ギターケースに入れずそのまま抱きかかえて持ち歩く

・高校生ライブハウス入場料600円(ドリンク込)

・観客にサイリウムを振らせる(アイドルバンドならまあありえる)

・オーディション制のガールズバンド限定ライブハウス

・壊れたと言って雨の中ギターを楽器店まで運ぶ

・ドラムの存在を途中までガン無視(そういう形態のバンドもあるにはある)

・すぐ全員でコーラス(作曲能力というよりは恐らく企画上の都合)

 

香澄が突然上手くならなかったのと演奏がそこそこ拙かったのだけはまあ多少評価しますが(『けいおん!』はこの点を大胆かつ強引に押し切ったので)、それを差し引いてもやはりバンドアニメをやる気があるのかと叱咤したくなります。

CGのクオリティとか楽器や演奏の作画とかはもう結構です。制作時間と予算がなかったということにしておきましょう。他のアニメも大概酷いですし。

 

◆「バンドリ」が持っていた可能性

文句ばかりで改善策を提示しないのは良くないですね。というわけで、どうすればバンドリは面白くなっていたかを考えていこうと思います。ここまででもちょくちょく挙げてはいましたが、私が考えるのはもっと大胆な案です。

 

まずはテーマ設定。やはり”星の鼓動”を高校生がクラス全員の前で言い放って自然に受け入れられるというのは違和感たっぷりですから、同じことをした結果として香澄がクラスコミュニティから脱落するのをスタートにしましょう。

高校生にとって、学校とはほとんど唯一の居場所。そんな場で浮くというのはそのまま居場所の喪失を意味します。なくしたものを取り戻すという営みには物語が生まれそうですから、『バンドリ』のテーマは居場所の獲得にするといいでしょう。

 

テーマを決めたら、それに沿うようにストーリー展開を考えていきます。バンドという媒体での居場所の獲得を目指して、香澄たちを動かしていくことになります。

『バンドリ』にはちょうど不登校(=学校に居場所がない存在)である有咲が既におり、もともとこの二人が出会う流れになっていますから、序盤はこれをそのまま活用しましょう。また、蔵にあるランダムスターはやはり香澄に獲得させるべきですが、強盗的手段で得るようでは有咲に香澄を受け入れる素地が出来ません。無期限で借りる体にするか、長年売れない不要なものとして譲渡するというかたちにするかが妥当でしょう。

流星堂にたまたま訪れた香澄(これくらい許容してほしいものです)が、有咲に見せてもらった蔵の中でランダムスターを発見し、ちょっと触らせてもらったところ興味を持ち、放課後は蔵に入り浸って弾きまくる。これを1話および2話前半くらいまででやっておけば、二人でライブハウスに行くのも自然な流れになるでしょう。

このあたりで、香澄が遠慮がちながらどうしても弾きたいという思いで来ていることが分かるようにすると、うざくなくていいでしょうね。ついでにクラスで浮いたことも話させておくと、理由は違えど同じ経験をもつ有咲が香澄を受け入れる準備も整います。本当は香澄も不登校にさせたいですが、これをやると家族問題とかをやらないといけなくなるので回避します。

すぐに学校での居場所を獲得するのではあまり面白くありませんから、ひとまずの居場所として市ヶ谷家の蔵ライブハウスを確保させます。蔵もライブハウスも密閉空間、”ハコ“です。”ハコ”は何かを閉じ込めて外から守るものですから、これらは外部の拒絶・心の安寧の象徴とすることが出来ます。コミュニティから脱落している香澄と有咲にとっては、”ハコ”の中にいることが安心なのです。「ライブハウスと蔵って似てる」といったような台詞も盛り込むべきですね。

ライブハウスに行くというのがひとつ大きな関門なのですが、この動機はまあ何でもいいような気もします。たまたま有咲が近所のライブハウスを知っているくらいが穏当でしょうか。ここで香澄はライブハウスでの演奏を目標に、バンドを組むことを決意します。これは何も変わりませんね。

 

中盤、メンバー集めフェイズ。残りの三人、すなわちりみ・たえ・沙綾のうち、りみとたえはそれぞれの理由で香澄と同じようにクラスに馴染めていないことにしてしまいましょう。初日以来影薄く過ごす香澄が、同じカースト下位であるりみやたえと関わることは、十分に自然といえるのではないでしょうか。

一方、沙綾は敢えてカースト上位に配置すると良さそうです。カースト上位ですから、前半では香澄の排斥を積極的に行います。沙綾自身もかつてバンド内でいじめられた過去を持つという設定にしておけば(このあたりもっと別なものが考えられそうですが)、後々香澄たちとバンドを組む下地にもなることでしょう。この設定によって、3話の尺を使うに値する難しい場面を作ることも可能になります。

学校(=”ハコ”の外)の行事である文化祭に思い切って出演しようとするポピパと彼女たちを妨害する沙綾という構図を経て、沙綾に演奏を聴かせてドラムを合わせさせるなどすれば、自然に加入することになるでしょうか……。やはり難しいですねこのあたりは。いじめる側の絶対悪性なんかもどうにかして排除する必要がありますし。

 

そして終盤。カースト上位である沙綾の加入と文化祭での演奏を契機に、ポピパの存在がクラスに広く認知され、香澄たちは学校での居場所の獲得という最終的な目標に向かうことが出来るようになります。沙綾の主導でポピパはライブハウスに出演することに。これにクラスメイトたちを呼んで素敵な演奏を聴かせてフロアを湧かせることが出来れば、香澄は晴れて学校での居場所を獲得、物語はハッピーエンドを迎えられます。ライブハウス=”ハコ”という自分たちの場を外部他者(=クラスメイトたち)に開放するという構図も成立します。

こうすることで、香澄の演奏技術の低さがピックアップされることに違和感がなくなります。認められるためには上手い演奏をしなければならない、でもそう簡単に上手くはならない。香澄がノイローゼになるのも(まだ多少は)理解できる展開です。解消法は元と同じ歌の分担でも何でもいいでしょう。どこかで沙綾あたりが「お前が下手なんて当たり前」くらいは言ってくれるともっと良さそうです。

無事クラスメイトたちの前で演奏し切ったポピパ。大喝采のうちにライブは終わり、片付けを終えて帰ろうとする五人の上に流れ星がキラリ。締めはこんなところでいいでしょう。

 

これくらいやれば多少マシにはなるんじゃないかと思います。前項で指摘した髪型の意味なども盛り込んで、香澄の思いを(出来る限り台詞ではなく演出で)表現してあげるとさらに良くなるでしょう。

素材には良いものが揃っていただけに、さまざまな政治的問題(憶測ですが)や時間・経済的制約が絡んだ結果として産業廃棄物めいた作品になってしまっているのは残念でなりません。

 

ちなみに、クラスに馴染めなかった香澄という題材は、『バンドリ』コンテンツ最初期の漫画『BanG_Dream! 星の鼓動』で実際に扱われています。これもこれで香澄以外のキャラクター設定がぶっ飛んでてどうなんだろうという気持ちにはなるのですが、物語の導入部分はアニメよりだいぶ穏当に感じられます。

まあ、アニメ『バンドリ』はこの後にゲーム・ライブを展開するという前提でその取っ掛かりとして製作されているもののようなので、私が提示したストーリーや『BanG_Dream! 星の鼓動』のようなストーリーのような薄暗い展開ではダメだったのでしょう。仕方ない、商業ですから。

 

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◆それでもアニメ「バンドリ」は成功している

驚くべきことですが、ここまで露骨な粗悪アニメである『バンドリ』が、どういうわけか世間では少なからずもてはやされているという事実があります。円盤の売上も平均5000枚程度とまあそこそこ。

いや、確かに『ガルパ』は私も少しプレイしましたし、ゲームとしては良作と言わざるを得ないことは確認してますが、『ガルパ』のリリースはアニメ放送期間中なので、それとこれとはどうも関係なさそうです。

私自身もツイッターで「バンドリ感動した!」などといったツイートを見たので、本人に「どう面白かったのか教えてほしい」と尋ねたんですが、私が否定的立場であることを明かした上でだったので拒否されてしまいました。そりゃそうだ。

なかなか言い方が難しいんですが、私のように分析ばかりしている人間は安直な感動を受け付けない体になってしまうので、その点は少し損なのかもしれないと思っています。私は『君の名は。』なんかも観終わった後キレて舌打ちしながら映画館を出ましたし。

 

とにかく、アニメ『バンドリ』で感動している人が少なくないのは動かざる事実で、関連コンテンツも軒並み(特にゲームとライブは)大きな利益を出しています。いろいろ理屈を並べ立ててここが悪いあそこが悪いと指摘しても、結局そういう人たちがいる限り商業は成立しますし、アニメがどうであれ『バンドリはコンテンツとしては成功しているんです。そして私は、別にそれで構わないかなぁという気はしています。

ここまで書いてきたことは『バンドリ』が好きな視聴者各位の感性を否定するものではなく、あくまでいち視聴者の感性のひとつなのだと受け止めていただければ幸いです。この話もそのうちしようと思います。

 

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